礼拝説教要旨(2020.02.09)  
神のご支配を喜ぶ =ハイデルベルク信仰問答= 問答123
(マタイ 6:9〜13)  柳吉弥太師 

『第三部 感謝について:祈りについて                第48主日

問123 第二の願いは何ですか。
答  「み国を来たらせたまえ」です。
   すなわち、
   あなたがすべてのすべてとなられる御国の完成に至るまで、
    わたしたちがいよいよあなたにお従いできますよう、
    あなたの御言葉と御霊によって
    わたしたちを治めてください、
   あなたの教会を保ち進展させてください、
   あなたに逆らい立つ悪魔の業やあらゆる力、
    あなたの聖なる御言葉に反して考え出される
    すべての邪悪な企てを滅ぼしてください、
    ということです。

 主イエスが、「だから、こう祈りなさい」と教えて下さった「主の祈り」、その祈りは、「天にいます私たちの父よ」と呼びかけ、先ず第一に「御名があがめられますように」と祈るよう教えられている。全知にして全能なる神を正しく知り、その神をあがめ、心から讃美することができるように・・・と。祈る私たちが、神を正しく知ることによって、自分の心が探られ、自らの生き方を正すことが迫られている。私たちが、もし「主の祈り」を祈りながら、自分の生活の全てが何も変わらないなら、それは大問題と気づかされる。私たちの「生活のすべて」とは、「思いと言葉と行い」のことと言われ、その「すべて」において、「御名がわたしたちのゆえに汚されることなく、かえってあがめられ讃美されるようにしてください」と、祈るようにと。信仰問答は第二の願いについて、次のように言う。

1、問123「第二の願いは何ですか。」答「『み国を来たらせたまえ』です。すなわち、あなたがすべてのすべてとなられる御国の完成に至るまで、わたしたちがいよいよあなたにお従いできますよう、あなたの御言葉と御霊によってわたしたちを治めてください、・・・」この答は、三つの願いに触れている。第一は、天の御国の完成を待ち望みつつ、私たちがいよいよ神ご自身にお従いできるよう、「わたしたちを治めてください」と祈ること、第二は、「あなたの教会を保ち進展させてください」である。そして第三に、神に逆らい立つところの「悪魔の業や力」など、御言葉に反する「すべての邪悪な企てを滅ぼしてください」と祈ることである。ここで覚えておくべきカギは、「御国」とは「神の支配」、または「神の統治」のことである。また、「神の国」がまだ実現していないので、一日も早く実現するようにと、その到来を祈るのではない。生きて働いておられる真の神は、この世界をお造りになり、これをしっかりと統治しておられる。神の絶対的統治があって、全世界、全宇宙は規則正しい秩序の中にある。この地球は人や生き物が住む場所として、見事に整えられている。従って、主の祈りで祈り願う「神の支配の実現」は、神に背いた人間にとっての救いの実現のこと、キリストにある救いが私たち一人一人に実現し、やがて完成することを意味している。だからこそ、その実現と完成を祈る私たち自身が、神にお従いできるよう、御言葉と御霊によって「わたしたちを治めてください」と祈り、願うのである。他人事でなく、自分の事として祈っているか、私たち自身の心が探られる。

2、信仰問答の答は、次に「あなたの教会を保ち進展させてください」と願うことと言う。キリストによる救いの実現のため、どこよりも真剣に、また具体的に取り組んでいるのは、キリストがかしらとして建てられている教会である。目に見えない普遍的な教会だけでなく、目に見える地上の教会も、神が建てられた教会として、神に守られ、保たれてこそ進展させられる。「み国を来たらせたまえ」との祈りには、私たちの教会も、神さま、「あなたの教会」として守り、導き、育んで下さい、前進させ、成長させて下さいと、心を込めて祈ることが含まれている。そして、もう一点、神に逆らう「悪魔の業やあらゆる力」、また、神の御言葉に反して考え出される「すべての邪悪な企てを滅ぼしてください」との願いも、心を込めて祈る必要のあることと説かれている。実際に世にある教会は、様々の苦難や課題に直面する。この日本で、私たちは日本長老教会に属している。日本長老教会は、この国でどれほどの規模の教会ですか・・・?と問われると、答えるのに窮することがある。私の理解では、日本にあっては、やはりまだまだ小さな教会である。それでも、ここ数年の大会会議では、50年ほど前とは比べようのない規模に成長させていただいたと、実感し感謝に溢れる思いがある。神は祈りに答えて導いて下さっている。同じことが、所沢聖書教会に関しても言える。神の守りと導きは確かである。感謝以外にない。

3、私たちは、生ける真の神、私たちに救い主キリストを遣わして下さった神がおられると心から信じている。その神が「すべてのすべてとなられる御国の完成」の時が必ず来ること、「御国の到来」、「神の支配の実現」を信じている。その時に備えて、私たち自身が心して神に従って歩み、そのためには、いよいよ御言葉と御霊によって導かれることの大事さがある。「あなたのみことばは、私の足の灯、私の道の光です」との御言葉を覚えたい。(詩篇119:105) 私たちの地上の歩み、人生そのものに、果たして指針を持っているか、道しるべがあるのか、真剣に考えることは尊いことである。聖書の御言葉の尊さ、大事さを見落とすことのないように。電気製品を買うと、必ず取り扱い説明書がついている。「取り扱い説明書をお読みになってから本製品をお使い下さい」と記されている。(※読まずに使い始める人が多いよう)他方、人間に関して、その生き方に関しての指針は、何をもって指針とするか、多くの人は無頓着のようである。人間を造られ、人間を生かしておられる方、神が示しておられる指針、聖書の御言葉に聞き従うことは、何よりも大事である。私たちは、主の祈りを祈りつつ、御言葉に従い、神が私を治めて下さることを願う者となるように。

<結び> 最後に、「あなたの教会を保ち進展させてください」との願いとの関連で、「悪魔の業やあらゆる力」、また「御言葉に反して考え出されるすべての邪悪な企てを滅ぼしてください」との願いを、心を込めて祈ることを忘れないようにしたい。2月11日を迎える時、この国の教会が、かつて犯した過ちを二度と犯さないよう祈らねばならない。(※国の政策に迎合して、「神社は宗教にあらず」との考えを認めてしまった。)世にあって、教会も私たち一人一人も、思っている以上に惑わしがあり、罪との戦いがあると覚えなければならない。主イエスがはっきりと警告し、励まして下さっている。「あなたがたは、世にあっては患難があります。しかし、勇敢でありなさい。わたしはすでに世に勝ったからです。」(ヨハネ16:33)この世で不正が横行し、富の不平等があり、人を分け隔てする理不尽が満ちているとしても、ただ一人、善なる方で、正義と公平を実現される神は、必ずご自身の支配を完成させるお方である。その神を信じて、その方にお従いする私たちこそ、この世の不公平や、この世の邪悪な企てに対しては、しっかり立ち向かう力をいただいているはずである。私たちは、是非、そのような視点をも、この主の祈りから教えられたい。神が一人でも多くの方に、キリストを信じる信仰を与えて下さるように。そして、罪の赦しが与えられる救いを喜ぶ方が増し加えられるように。そのようにして、キリストの救いによる神の国が到来すること、神の支配の実現することを祈り求めることが導かれるように。私たちが神のご支配を大喜びする者となるように。