礼拝説教要旨(2019.09.15)  
人生本番は80才から
(使徒の働き7:20-36) 片岡由明師 

序:「ジャパニーズ・モーセ」と呼ばれた明治時代の日本人がいる。昔、日本人で初めてアラスカに渡り、現地で家庭を持ち、日本の漁業を教えたフランク安田。住む町が大恐慌で壊滅寸前だったが、彼が指揮をとり、内陸に村ごと引っ越し、新天新地を築いた人物。その生涯を作家・新田次郎は「アラスカ物語」として表した。

 本日は、「聖書の中の高齢者の生き方」とのテーマから、モーセの生涯を学ぶ。
モーセは80才になった時、神から人生の使命・役割を与えられた。
彼の生涯をひも解く「キーワード:40」という数字(使徒7:23、30、36、42)。
即ち、モーセは120年間の生涯の中を40年間ずつ3区分できる。

1、 エジプトでの教育期間(0〜40才)
@ 両親からの遺棄:生後三か月でナイル川に流され、パロ王の娘に救済される。
A 最高級の学問を会得:「あらゆる学問も教授され、言葉にも業にも力がある」
B 母から信仰教育:乳母となった母親から神信仰と、ユダヤ人としての自尊心をもつ。
C 性急な民族解放:同胞を救済しようと殺人を犯し、失敗と挫折を味わう。

2、 ミデアンの荒野での訓練期間(40〜80才)
@ 鉄格子のないろう獄:殺人罪への償いの日々。40年間の謹慎生活。
A 羊飼い生活:妻を得、息子達の父親となる。神の時を待つ忍耐と訓練の時代。
B 謙遜という御霊の実:「モーセは地上の誰にも勝って非常に謙遜であった」(民数12:3)
C 神が自我を砕く:短気で性急な性格から、忍耐と寛容を学び謙遜さが結実する。

3、 シナイ半島での活動期間(80〜120才)
@ 「燃える柴」の召命:人生の本番は80才、高齢・老齢の頃、本来の使命を授かる。
A 「出エジプト」との役目:モーセの尻込み。「私は言葉の人でない」と拒否。
B 律法授与と幕屋礼拝:荒野の中の「教会」形成、民の霊的養い。
C ゴール寸前の死:神の「命令死」。モーセの墓は不明。「地上」の約束の地は入植不可だが、「天上」の約束の地に入植できた。

まとめ:人生の節目に失敗・挫折・試練等を経験するが、それでも神は見放さず、高齢のモーセを神の器として尊く用いた。神が用いる時、年齢は関係せず、ただ主の教育と訓練を受けた者を用いる。彼は高齢80才になって人生の本番を迎え、それまでの準備期間がその使命貫徹に見事に生かされている。