礼拝説教要旨(2018.01.28)=ハイデルベルク信仰問答= 問答:27〜28
順境の日も、逆境の日も
(テサロニケ第一 5:16〜18)

『第二部 人間の救いについて:父なる神について    第十主日 
問27 神の摂理について、あなたは何を理解していますか。
答  全能かつ現実の、神の力です。
   それによって神は天と地とすべての被造物を
    いわばその御手をもって 今なお保ちまた支配しておられるので、
    木の葉も草も、雨もひでりも、豊作の年も不作の年も、
    食べ物も飲み物も、健康も病も、富も貧困も、
    すべてが偶然によることなく、
    父親らしい御手によって わたしたちにもたらされるのです。
問28 神の創造と摂理を知ることによって、
   わたしたちはどのような益を受けますか。
答  わたしたちが逆境においては忍耐強く、
    順境においては感謝し、
    将来については
    わたしたちの真実な父なる神をかたく信じ、
    どんな被造物も
    この方の愛からわたしたちを引き離すことはできないと
    確信できるようになる、ということです。
   なぜなら、あらゆる被造物はこの方の御手の中にあるので、
    御心によらないでは
    動くことも動かされることもできないからです。

 天と地を造られた神を「お父さん」と信じ、この神に守られ、生かされる私たちは、何と幸いで、心強いことかと感謝する他ない。私たちが信じる神は、天地の造り主、全知にして全能なる神である。その神が、私たちに必要なもの全てを与え、全てを益として下さるからである。続く問答27は、「神の摂理について、あなたは何を理解していますか」との問に、「全能かつ現実の、神の力です。・・・」と答え、神の支配が、起こり来る全ての事柄に及んでいることを認めます。全てのことは偶然によるのでなく、父親の御手が働いてこそのことです・・・との告白がなされる。私たちが使徒信条をもって信仰を言い表わす時、そこまでの思いを込めているかどうか、心の内を探られる。

1、神の全能の力が、全ての被造物に及んでいる事実、神の御手の力が働いているので、万物が保たれていると、私たちは気づいているだろうか。一日は24時間と定められ、狂いなく時が刻まれている。(※うるう秒、うるう年があることの不思議!)人類が大気圏の外に出て、再び地球に戻れるのは、この天体が規則正しく動いているからであって、神はこの広大な宇宙を造られ、これを保ちまた支配しておられる。「木の葉も草も、雨のひでりも、豊作の年も不作の年も・・・」、全てが偶然ではなく、父なる神の御手によることと、私たちが信じるなら、私たちの心は、確かな拠り所を得て、安らぐことができる。「食べ物も飲み物も、健康も病も、富も貧困も」と、現実の生活には、ありとあらゆることが降りかかる。自分にとって、良いことも悪いことも、時に容赦なしに襲い来る。たじたじとなって、意気阻喪しそうになる私たちである。それでも、父なる神の御手の中にあることを知るなら、神の助けのあることを信じて、立ち上がることができるのである。

2、問28「神の摂理を知ることによって、わたしたちはどのような益を受けますか。」ようするに、造り主なる神を信じて、何が益となるのか・・・との問である。もちろん、ここでの問い掛けは、もっと好意的であるが、神はいないと言い張る世の人々は、神を信じても良いことなんかないじゃないか・・・と言いたいようである。けれども、神を信じる私たちは、次のように答えることできる。「わたしたちが逆境においては忍耐強く、順境においては感謝し、将来については わたしたちの真実な父なる神をかたく信じ、どんな被造物も この方の愛からわたしたちを引き離すことはできないと確信できるようになる、ということです。なぜなら、あらゆる被造物はこの方の御手の中にあるので、御心によらないでは 動くことも動かされることもできないからです。」この地上の生涯には、誰にも例外なく、順境の日があり、また逆境の日がある。晴れの日があれば、また雨の日がある。神は私たちに対して、いずれの日にも神を仰ぎ、神の御手を見出すことを望んでおられる。そのようにして私たちが訓練されること、一層心が神に向き、神と共に歩む者と成らせようとしておられるのである。「逆境においては忍耐強く、順境においては感謝し・・・。」

3、使徒パウロは、テサロニケの聖徒たちに勧めている。「いつも喜んでいなさい。絶えず祈りなさい。すべての事について、感謝しなさい。これが、キリスト・イエスにあって神があなたがたに望んでおられることです。」「いつも・・・絶えず・・・すべての事について・・・」と、いつ、いかなる時も、どんな事柄にも、神が背後にあることを知るように、神は全てをご存じで、全てを治めておられるので、「すべての事について感謝しなさい」と。(テサロニケ第一5:16-18) パウロはまた、ローマ人への手紙において、「神がすべてのことを働かせて益としてくださることを、私たちは知っています」と言った後で、「私たちをキリストの愛から引き離すものはだれですか」と問い、「どんな被造物も、私たちの主イエス・キリストにある神の愛から、私たちを引き離すことはできません」と、断言している。(ローマ8:28-39)私たちは、神に守られ、御子に支えられているので、何者をも恐れることはない。「なぜなら、あらゆる被造物はこの方の御手の中にあるので、御心によらないでは動くことも動かされることもできないからです。」

<結び> 神の創造と摂理を知ることによって、私たちは、順境の日も、また逆境の日も、造り主なる父、全能者である神によって守られ、支えられているとの確信に導かれる。その確信は、生涯を通じて揺るがないものとなって、私たしたちを支え、導いてくれるものとなる。「人は心に計画を持つ。主はその舌に答えを下さる。人は自分の行いがことごとく純粋だと思う。しかし主は人のたましいの値うちをはかられる。あなたのしようとすることを主にゆだねよ。そうすれば、あなたの計画はゆるがない。」(箴言16:1-3)神の御手の中にある幸い、それは順境の日も、また逆境の日も、決して揺れ動くことはない。晴れの日も雨の日も、父なる神は、私たちと共におられる。イエス・キリストを通して罪を贖って下さり、聖霊を遣わして励まして下さる神のご支配は、私たちの思いを超えて確かである。今週も、全知にして全能なる神に守られて、それぞれの務めを果たしつつ、歩ませていただきたい。