牧師からのメッセージ



『剣をもとに納めなさい。
      剣を取る者はみな剣で滅びます。』
(マタイ26:52)


主イエスは、ユダヤ人たちによって捕らえられたとき、剣を抜いて反撃した弟子ペテロに言われました。

「剣をもとに納めなさい。剣を取る者はみな剣で滅びます。」

そして耳を切り落とされた大祭司のしもべの耳にさわって直されました。そのとき、主イエスのお心は一切の武力行使を否定しておられたのです。

  ところで、武力行使否定、一切の戦闘放棄というと、「日本国憲法」第9条は世界に誇れる類いまれなる条項です。

=第9条 日本国民は、正義と秩序を基調とする国際平和を誠実に希求し、国権の発動た る戦争と、武力による威嚇又は武力の行使は、国際紛争を解決する手段としては、永久 にこれを放棄する。 
A 前項の目的を達するため、陸海空その他の戦力は、これを保持しない。国の交戦権は、これを認めない。= 

私たちが今住んでいるこの日本の社会は、この憲法のもとに50数年間、平和を享受することを許されてきました。これは驚くべき幸いだったのではないでしょうか。

けれども現実はこの条項を棚上げすることをよしとして歩み、今日、更に一歩踏み出して、明確に武力行使をする国として歩みだそうと、有事関連法の成立(2003年6月6日)にまで至ってしまいました。

 他方、世界で唯一、本当の意味で「非武装永世中立」を選び取った国があります。中米のコスタリカです。私たちの国では、多くの人が、特に有識者と言われる人たちが「非武装中立など理想主義・・・、夢のまた夢・・・」

と嘲り、自国の憲法をないがしろにしてきた間に、コスタリカはこれを選び取り(1949年11月:軍備放棄を定めた現行憲法施行。1983年11月:モンヘ大統領が「永世・積極的・非武装」中立を宣言)、豊かな国つくりをしていると言われます。教育に力を注ぎ、子どもたちの未来に夢を与えることに国つくりの中心を据えているというのです
(2000年度国家予算の21%が教育費とのこと)。

憲法に条項を持ちながら「非武装永世中立」を否定し続けた国と、憲法によってこれを選び取って実践している国、この二つの国の違いは今後ますます明らかにされて行くのでしょうか。

私たちはこの国に住み、この社会の中にあって生きています。この世の現実に常に対峙しながら生きています。生き方のすべてにおいて真の神に従い、この神の教えに従って生きることを選び取る者でありたいと願います。

「剣を取る者はみな剣で滅びます。」と言われた主イエスは、
「平和をつくる者は幸いです。その人は神の子どもと呼ばれるからです。」(マタイ5:9)

とも言われました。このみ言葉の幸いを本当に生きる人とならせていただきたいと心から祈ります。